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 変革が迫られる建設産業
バブル経済の崩壊は、未曾有な不況となってわが国の社会経済システムを直撃し、戦後築き上げ てきた体制を揺るがしている。各産業はこの苦境を乗り切るには、単に不況対策でなく産業構造を 根本的に変革することが必要との認識が強い。
その最大の理由は、今や各産業は、グローバルな競争時代に突入しており、いかなる経済活動も国際的な競争にさらされ、国内のみで通 じるシステムはもはや許されない状況にあることによる。
また同時に、地球の環境保全、人類の生命維持、人権の保護など国際的な価値観に合致したシステムが求められていることも重要な理由である。
 建設産業とて例外ではない。バブル経済の主役でもあったたため、その崩壊は、一層厳しい教訓となっている。
 日本の建設産業は、戦後独自の生産システムを構築し国内産業の代表として発展してきた。その頂点がバブル経済を生み、「拡建設」を合言葉に業容を拡大してきたが、バブル経済の崩壊とともに一気にこれまでの構築してきたシステムの弱点が露呈し、バブルの後遺症に苦しむだけでなく、将来の展望が拓けない状況にある。
 現在は不良債権の処理、公共工事の追加発注など政府の支援を受けながら、応急処置を取っているが、長引く不況の中で企業経営の目途は立っていない。企業の多くは拡大した業容を縮小させ、リストラによるスリム化を進めているが、日増しにコストダウン圧力は強まり、過酷なまでの価格競争は、企業の存立すら脅かしている。
 日本の建設業はどうなるのだろうか。有効な打開策はあるのだろうか。目前に控えた21世紀、果 たして建設産業は新しい世紀に向かって力をよみがえらせることができるのだろうか。

 第三専門職域の形成
日本の建設産業は、行政府の指導を受けながら典型的なローカル産業として発展し、その体制が確立されてきた。官公庁を代表とする発注者、デザインを中心とする設計事務所、総合力を有する建設会社、この三者で構成された三位 一体のトライアングルと重層構造を持つ下請企業が特徴である。
 この体制は、これまではうまく機能し、戦後のわが国の発展に大きく貢献した。しかし一方では。高コスト体質、談合体質、排他的非競争の体質をもたらし、生産システムの不透明さは、社会問題を時として発生させている。透明性、客観性、妥当性、そして自由な競争が求められる今日のオープンな市場では対応しづらい産業構造となっている。
 行政府の再三の改善指導、公共工事の発注方式の改革などが矢継ぎ早になされても成果 は乏しく、誰の目から見てもこの体制の欠陥と硬直化は明らかだ。
 日本の建設産業は、公共工事が、これまでのようには発注できないこと、建設費のコストダウン圧力が強いこと、国際化、情報化の波に洗われ新しい競争の時代に突入していること、更には一般 国民の納得いく生産活動が求められることなど、取り巻く社会経済情勢にもはや対応できなくなっており、これまでの生産システムは根本的な見直しが迫られている。
 現在の生産システムは、設計、施工の二大分野を中心にこれに関係する企業の活動で成立している。
 しかし、このふたつの領域だけで今日の社会経済環境と人々の価値観に対応することができるだろうか。最近の行政府からのコストダウン要請である「設計VE」ひとつをとっても、対応しずらい体制となっている。
 現在および将来における社会的ニーズ、経済的効果を考えるならば、この二大分野だけでは限界があり、今までの枠組みを変える必要があるのではないだろうか。この二大分野を効果 的に動かす第三の力が必要だ。第三の力とは既に欧米では実施されているマネイジメントの領域であり、建設活動を透明かつ公平に、しかも経済的に運営する専門職能である。
 建設産業のマネイジメントについては、その意義や事例の紹介が多くあるが、わが国の商習慣を踏まえ国際的にも通 じる方法の開発が大切である。そしてマネイジメントを業とする領域は、設計、施工に次ぐ第三の専門領域として今後育成していくことが、わが国建設産業に必要である。

 協同組合 無双(ムソウ)
第三の専門職域を担う人材は、建築積算資格者である。
現在、資格者は、様々な分野に属しているが、これからは設計、施工に次ぐ第三の専門家として職能を拡大させ、コストの専門家として、またプロジェクトの専門家としての自覚が求められる。そしてそれぞれ所属している分野で専門職能を発揮することが必要である。
第三の人材育成と新しい職能の形成は、21世紀のわが国の建設産業発展に不可欠といえよう。建築生産のマネイジメント業務を担う建築積算資格者は、夢と志しを大きく持ち、自己の能力開発に挑戦していかなければならない。そして数量 積算という狭い範囲から脱却し、マネイジメントという幅広い職能を身に付け、第三領域を発展させていくことが求められる。いわばこれまでのI型人間からT型人間へと成長していくことが要請される。
建築のマネイジメント分野は幅広いが、コストエンジニアリング中心といっても過言ではない。コストの裏付けがあってはじめて品質、工程、安全、環境等が保証される。また発注者の良きパートナーとなるには、計画の立案、収支、完成後の運営方法など更に広い知識が要求される。
これらの能力は、一度に身につけることは難しく、学習と経験の積み重ねが必要である。また、身につけた能力は、公にオーソライズされることが大切である。
21世紀は、ますますボーダレスな国際社会であり、私達、協同組合 無双が、建築積算資格者としてプロジェクトマネイジャーとともに国際的に活躍する時代でもある。
私達、協同組合 無双は、現状をしっかりかくにんするとともに、自己の職能を自覚し、将来を見据えて、全力を注ぐ覚悟である。