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工程1 採漆/製漆
漆器に使われている漆は、漆の木の分泌物である樹液「漆液」を採ったものです。漆の木に刃物で傷をつけて、にじみでる漆液を採集する作業を「採漆」と呼びます。
採漆の方法は、最初に基準となる一条の切傷をつけて、その後上下に、各一本ずつ掻き傷をつけて、繰り返し漆液を採ってゆきます。一本の木に対して、二十数回の採漆を行います。採漆が行われる時期は、盛夏の頃と定められています。こうして採取された漆を生漆と呼びます。
採漆された生漆を、加工して精製することを、「製漆(精漆)」といいます。
製漆の目的は、生漆の水分を除いて、光沢を発揮させ、透明度を増し、乾燥時間を調節するなど、後々の用途に適合させることです。製漆には、漆を塗りやすくするために、生漆内の含有物を均等にする「なやし」と、生漆に含まれている水分を蒸発させる「くろめ」があります。
そして「なやし」「くろめ」が行われた漆を濾過して、製漆が終わります。

明治以降は中国より安価で大量の漆の輸入が始まり、現在はほとんどの漆は中国産である。

工程2木地
漆塗のもとい(土台)となるものを「素地」といい、木材でつくられた素地を「木地」と呼びます。木地には、「挽物」「曲物」「板物」と呼ばれる三種類の物があります。どの木地づくりにおいても、木材の水分乾燥のために起こる収縮やそりなどから来る変形に対応するための技術が要されます。
まず、最初に「挽物」とは、木材をろくろ、または旋盤で工夫した円形の製品の総称です。木材の乾燥を繰り返しながら、「荒挽」「中挽き」「仕上げ挽き」という三度の工程過程があります。
次に「曲物」とは、蒸煮して柔らかくした木材を、木型などを使って曲げて両端をつなぎ合わせたものに、底板や甲板をつけた製品です。素材には、主に、良質のヒノキが使われます。
最後に「板物」とは、製版した木材を加工成型した製品です。まず器の各部分を木取りして、次にその部分をつなぎ合わせ、さらに組みあがった全体を削って仕上げます。

工程3
【下地工程】
漆を塗る工程は大きく二つにわけられ、そのひとつが「下地」です。

「下地」の目的は、漆器を堅牢にすることと漆器のもといである素地の形を補修したり、整えたりすることにあります。「下地」には「漆下地」「渋下地」「膠下地」などの種類があり、目的によって使いわけられます。
【上地工程】
漆器を堅牢にするための下地工程が終わった素地の上に塗装する工程を一般に「上塗り」といいます。この「上塗り」工程には、「下塗り」「中塗り」「上塗り」の三つの段階があります。「下塗り」は、「上塗り」の効果を上げるために行われます。「中塗り」は、「上塗り」をより優美なものにするために行われるもので、使用される漆は、「上塗り」の漆の色を考えて選ばれます。
「下塗り」「中塗り」のどちらも、塗りが終わったあとには、漆風呂と呼ばれる高湿度な環境の乾燥室内で、ゴミの付着を避けて乾燥させます。そして乾燥が終わると、塗面を平らにし、次に塗る漆と密着をよくするための研ぎ作業が行なわれます。
そして「上塗り」です。「上塗り」では「中塗り」より少し厚めに漆を塗ります。その後、漆が流れて下の方にたまになることがないように一定時間事に上下を転倒させる返しという作業をしながら乾燥させます。

工程4
漆が塗り終わった漆器に、紋様などをつける加飾には、蒔絵、螺鈿、沈金、シルクスクリーンなどをはじめとしていろいろな技法があります。

「蒔絵」は、蒔絵筆という細長い穂先の筆に漆液を含ませて絵を描き、漆が乾かないうちに金、銀、錫や色漆を乾燥させた粉を蒔いて、紋様をあらわす技法です。奈良時代に発祥したとされています。

「螺鈿」は、漆器の面に貝殻を散りばめて装飾したものをいいます。
古くは中国から渡来してきた技法です。

「沈金」は、沈金のみという道具で模様を線彫りして、生漆を摺りこみ、その漆のうえに金箔を付着する技法です。比較的、堅牢な加飾で、一般の実用品にも広く行われています。
そして、プラスチック素地とスプレーによる吹付け塗装が開発されて、大量生産が行われるようになって、従来の手書き蒔絵にかわる「シルクスクリーン」技法が登場しました。