【2022年6月分】景況調査

【2022年6月分】前年同月比の景気動向

増加・好転  不変  減少・悪化
スクロールできます
売上高 収益状況 資金繰り 業界景況
製造業 食料品
繊維工業
木材・木製品
印刷
化学・ゴム
窯業・土石製品
鉄鋼・金属
その他
非製造業 卸売業
小売業
商店街
サービス業
建設業
運輸業
DI値 − 12.5 − 32.5 − 12.5 − 27.5

(情報連絡員40名のうち回答数40名 回答率100%)

製造業

食料品

 前年同月比は不変だが、コロナの前に比べると3割以上の減。原料仕入れ価格上昇にもかかわらず、販売価格が上げられずに厳しい状況。店売り減少により現金収入が少なく資金繰りが不安。また、人流がないので地方の土産店舗に活気がない。(食料品製造業)
 梅干製品の販売は大きく変動せず、全般的に売れ行きは鈍い。早い梅雨明けで売上の回復が望まれる。梅の作柄は予想ほど良くなく、昨年を下回る見込み。梅干原料は在庫がダブついており価格に影響が出そうである。(食料品製造業)

繊維工業

 従来の海外生産分を含め国内生産受注も増えているとの声もあるが、工賃的に厳しく受注が減少する中で厳しい判断状況。メーカーは国内生産の必要工賃を理解して欲しい。(繊維工業)
 依然として原材料、加工費、運賃等の上昇が進んでおり、下がる気配はない。(繊維工業)
 6月売上は前年同月比でやや減少した。原料や資材価格の高騰が続き、利益率は確実に減少している。原料及び資材価格の高騰と品不足による原料の調達難により「新規注文が入っても希望価格に合わせられない」や「注文数量に合わせた生産が難しく注文を断っている」などの声が同業他社から聞こえてくる。(繊維工業)

木材・木製品

 令和4年5月の新設住宅戸数は全国で67,193戸と15ヶ月ぶりの減少、全体で前年同月比4.3%の減となった。持家は6ヶ月連続の減少で前年同月比6.9%減少、民間資金は5ヶ月連続の減少、公的資金も7ヶ月連続の減少となった。貸家は15ヶ月連続の増加で、前年同月比3.5%増、分譲住宅は4ヶ月ぶりの減少、マンションも4ヶ月ぶりの減少となった。県内の新設住宅戸数は375戸で前年同月比14.3%の増加。全国のプレカットの状況は稼働率90%前後、職人不足に上海ロックダウンの影響も加わり深刻化。県内は需要先の差であるが90~95%程度の稼働率。(木材・木製品製造業(家具を除く))
 例年6月期は全体的に閑散期であるが、今期は特に厳しい状況にある。加えて、日々原材料価格及び生産に付帯する全ての費用が高騰している。(家具・装備品製造業)
 ウッドショックによる仕入れ価格高騰の見通しがつかない。受注時期が不明な物件では見積価格に転嫁できない上、見積期限が過ぎたものでも価格変更不可が現状。特に利益率の低い量産業者ではかなり厳しい状況とのこと。景況としては5月と6月が例年以下に低迷しているようだが、ここに来て夏以降へ向けた動きも見られ、今後のコロナ明けの景気回復に期待したいところ。今後は技術者不足についても検討課題となりそう。世界情勢やコロナの先行きが不安定なため、景況予測としては良くなく、5月以降の低迷もあって資金繰りの急速な悪化が心配される。(家具・装備品製造業)

印刷

 業種別価格転嫁の達成状況において印刷業はワースト2位であり、価格転嫁は進んでいない。適正価格化としての価格転嫁の実態は印刷業界にとって厳しい状況になっている。(印刷・同関連業)

化学・ゴム

 今月は、対前月比では精密化学品が伸びるも、農薬中間物、有機中間物、高分子の減が大きく、出荷量19.1%、出荷額25.6%の大幅な減であった。対前年同月比でも、精密化学品は好調も、農薬中間物等対前月比同様の品目の減で、出荷量5.2%、出荷額2.1%のそれぞれ減であった。新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は、ワクチン接種効果もあり、ようやく減少傾向にあったが、ここに来て大幅に増加傾向の地域もあり心配。長引くウクライナ情勢や急激な円安等による資源高により、諸物価の上昇が続く。欧米ではインフレ警戒の金利上昇政策がとられているが、日本は国内経済が回復していないため、真逆の超低金利政策を続けているが、先行きの出口が見えてこない。このままのコストアップ・インフレだけは避けてほしいものである。(化学工業)

窯業・土石製品

 原材料価格と輸送コストの上昇に伴い、生コンクリートの単価も上げざるを得ない。全国でも同様の動きとなっている。(セメント・同製品製造業)

鉄鋼・金属

 売上高は前年同月比で約6%増加したが、上海ロックダウンの影響が続いており顧客の生産が安定していない。(金属製品製造業)
 いまだに収まらないウクライナ・ロシア問題により、原油価格の高騰が発生、材料価格に反映されてきている。中国上海のロックダウンの影響で、一部部材が入ってこない事態となってきており、生産調整に苦慮している。(金属製品製造業)

その他の製造業

 冬物から来春物に向けてのサンプル注文が散見されるものの業況は依然として低調。消費意欲の向上を願う。(なめし皮・同製品・毛皮製造業)
 原材料価格の高騰、後継者不足が常に深刻な問題となってきている。(その他の製造業)
 同年前月比売上高は、更に増加している。(その他の製造業)

非製造業

卸売業

 ウクライナ情勢と円安の影響で材料価格の高騰が続いており、落ち着く気配が見えない。商品供給においても中国のロックダウンによる影響が出ているメーカーもあり、依然として在庫切れによる代替品提案などで業務の負担が増えている現状である。コロナウイルス関連のニュースも減少しイベントを開催する業者も出てきた。今後、外国人の観光客受入などによる経済の好転を期待する。(機械器具卸売業)

小売業

 惣菜用の油や小麦など多種材料の仕入値が高騰し、売上価格への転嫁が出来ておらず収益率が減少している。(飲食料品小売業)
 政府の燃料油価格激変緩和対策により、ガソリン1L当たり補助額35円超の状態が続いているが、原油市場の乱高下によりガソリンの卸売価格は6月上旬から下旬にかけて1L当たり10円上昇し、その後7月に入ってから1L当たり7円下落。卸売価格増減分の小売価格への転嫁が非常に難しい日々が続いている。(その他の小売業)
 取扱品の値上げが続いているウオッチ、クロック、宝飾品、時計バンド等、各メーカーや卸から続々と値上げの通知が来ている状況。(その他の小売業)

商店街

 景気が悪いのに物価が上がるスタグフレーションになってきそうな予感。商店街を構成する中小小売サービス事業者の売上については、消費者マインドが長引くデフレ傾向から脱却していないため、諸物価の高騰に対応した販売価格への転嫁が十分できず経営状況は厳しくなるばかり。組合事業も組合員の減少に伴う運営費の縮小により活力が低下している。コロナ禍により発生した借入金の返済や、金利の上昇が今後の懸念材料。(複合業種(和歌山市))
 値上がり分、少し売上が増加傾向にあるが、景気自体は良くない。(複合業種(和歌山市))

サービス業

 業況では販売価格は上昇傾向にあるが、少子高齢化に伴い顧客数は減少傾向にある。ガスの仕入価格は輸入相場が若干下落してきているが、円安傾向にあるので仕入価格は上昇し収益は悪化している。依然としてガス器具の入荷遅れが継続しているため、ガス器具の売上は全く伸びない状況である。収益の悪化に伴い、資金繰りに苦慮している組合員が多い。(ガス業)
 6月は当年5月の売上と同程度だが、前年同月比では500%増。また全国旅行支援(開始日未定)も始まることで、今後の旅行需要の高まりに期待している。(宿泊業)
 6月の対前年同月比の宿泊人員は223.8%、総売上高186.5%、1人当り消費単価87.2%、総宿泊料金241.8%、1人当宿泊単価113.1%だった。2022年1月~6月の宿泊人員は322,940人で、前年同期間(2021年1月~5月)と比べると133,268人の増加である。(白浜温泉旅館協同組合)
 6月は気温の高い日が続き、居酒屋等は客足が増加し売上増となっている。コロナの感染者数も減少しており平常が戻りつつある。しかし、原材料価格高騰により収益は悪化している。客の増加により現金収入が増えるものの相変わらず苦しいうえ、公庫での貸し付けも厳しい。(飲食店)
 5月の保有台数と前年度増減数は、登録車329,266台(-2,257台)、軽自動車415,164台(+1,405台)、車検台数は、登録車12,763台(-3,366台)、軽自動車13,442台(-1,303台)となっている。また電力需給ひっ迫により工場の稼働時間が短くなれば、新車や部品の供給の遅れが出そう。(自動車整備業)
 自動車保険の支払件数や保険金は、コロナの影響などで大幅に減少しているが、先進安全装置の普及等による部品価格の上昇により、1件当たりの修理費用が増加傾向にある。(自動車車体整備業)

建設業

 6月は例年低調ではあるが、県発注の工事受注額は前年度と同程度となった。7月契約見込みの工事についても、前年度と同程度となりそう。(総合工事業)
 公共工事受注状況は減少傾向にある。手持ち工事のない業者も増え始めてきた。また、燃料など資材価格が高騰しているので、この状況が続くと経営状況が悪化する業者が出始める。(総合工事業)
 工事受注量は大きく変わりないが、7月分より塩ビ関係が15~30%値上がりする。鋼板関係も8月分より20%値上がりの様相。これからの工事見積が大変難しく、利益率がかなりひっ迫状況に陥ると思われ、価格転嫁して素直に取引できるかがこれからの問題点である。(識別工事業(設備工事業を除く))
 依然として原材料価格の高騰が売り上げに響いている状況である。(設備工事業)

運輸業

 業界の多重構造、燃料価格の抑制、貨物輸送のコストアップに対する荷主・元請の理解など様々な要因によって、燃料価格高騰の運賃転嫁が進まない。荷主業界により濃淡はあるものの輸送数量減少によって売り上げの減少、燃料他費用のコストアップで厳しい経営環境が続いている。(道路貨物運送業)
 昨今、値上げラッシュのメーカー等が、値上げの理由に原材料費のアップまたは輸送コストの上昇を挙げているメーカーが多く見られるが、輸送料金に燃料費のアップを転嫁できないでいるのが運送業界の現状である。(道路貨物運送業)